遺言を残す人が増えているといいます。
遺言の目的の大半は遺産相続です。
遺言が無ければ法律に基づいて遺産相続(法定相続)が処理されます。
遺言書が必要な場合とは?遺言書の種類は?
遺言書を残すべき場合
次のような場合に、遺言書を残す必要があります。
1.夫婦の間に子供がない場合(個人の父母も死去)
→法定相続だと4分の1は個人の兄弟に
2.長男の嫁に財産を残したい
→相続人ではないので遺贈が必要
法定相続分と指定相続分
相続人が複数いる場合、それぞれの相続人が財産を相続する割合のことを相続分といい、①指定相続分と②法定相続分とがある。
①指定相続分
指定相続とは、被相続人が遺言によって相続分を指定した場合の相続分のこと。
法律上有効となる遺言がある時には、指定相続分が法定相続分に優先する。
※遺言書で、相続人でない人に財産を残すことを「遺贈」という。
②法定相続分
民法で定められた相続分のこと。
相続財産をどのように分割するかは、相続人間で話し合って決めることができる。
しかし、話し合いがまとまらない場合で、遺言などによる相続分の指定がないと、最後は法定相続分を基準に相続することになる。
法定相続人となることができるのは、被相続人の配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹
≪相続の順位≫
第1順位:子
第2順位:直系尊属
第3順位:兄弟姉妹
常に相続人:配偶者※法律上の婚姻関係にある者に限られる
≪相続分≫
◇相続人が(以下同様)配偶者のみ:配偶者が全部
◇配偶者と子:配偶者が1/2、子が1/2
※配偶者がいない場合(a):子が全部
※子がいない場合であって、その子(被相続人の孫)の子がいる場合は、孫がその子の立場を引き継いで相続人になる。
◇配偶者と直系尊属:配偶者が2/3、兄弟姉妹が1/3
※(a):直系尊属が全部
◇配偶者と兄弟姉妹:配偶者が3/4、直系尊属が14
※(a):兄弟姉妹が全部
(例)夫が死んだ時に夫の両親が死亡している場合、妻が4分の3で、残りの4分の1は夫の兄弟姉妹にも相続分がある。
(例)長男の妻には相続権が全くない
(例)内縁の夫も妻もお互いに相続権はない
遺言書の種類
遺言には、主に、次の2種類がある。
①自筆証書遺言
自筆証書遺言は、日付や署名まで全文を自筆で書く遺言。
パソコンはNG。
手軽な半面、厳格な方式が定められていて、不備があると遺言が無効になることもある。
遺言者が亡くなった後、自筆証書遺言が見つかったら、これを家庭裁判所に出し、裁判官の前で、相続人が集まって「検認手続き」をしなくてはいけない。
②公正証書遺言書
公証人が作成。
公証人が作成した公正証書は公証役場で半永久的に保管されるので、勝手に書き換えられる心配がない。
公証人が病院や自宅まで出張して作ることもできる。
作成には証人2人が必要だが、公証人に依頼すれば、秘密保持のうえで心配のない人を紹介してくれる。