贈与税にさまざまな非課税の特別措置が講じられ、生前贈与を考える人が増えている。
この一因には今年(2015年)1月から相続税が増税になり、課税対象者が大幅に増えたことがある。

贈与税と相続税の関係

贈与とは、個人が自分の財産を他の個人に無償で与えることを意思表示し相手側が受け取る意思表示をする契約のこと。
贈与は生前贈与と死因贈与があり、死因贈与は相続税の対象になる。

問題は贈与の時期と額、贈与税の税率。

同じ金額を親族に残すにしても、亡くなってから全てではなく、生前に一部を贈与しておけば、相続税を減らすことができる。

但し、死亡3年以内の贈与は相続税の対象となる。

贈与税と相続税の内容を見ると、相続税の方が控除額が大きく、法定相続分に応ずる取得金額に対する税率は低い。

ただ、遺産が大きい場合は、生前贈与で少しでも額を減らしておきたいもの。

贈与税の非課税の特別措置

贈与には贈与税がかかるので、贈与税がかからない金額(基礎控除額)を贈与すると節税になる。

贈与税の基礎控除額は110万円。
従って、1年間に贈与によって取得した財産の合計額が110万円以下である場合、贈与税はかからず、申告書の提出も不要。

今回の「非課税の特別措置」はこの「基礎控除額」を条件付で上げるというもの。

「父母や祖父母」から「子どもや孫」に「一括贈与」が条件。
ただし、2019年までの期間限定だ。
要は5年間に限った特別措置である。

贈与税の特別措置の種類

特別措置の条件は上記以外に内容や年齢についてもある。
内容は下記の3種類。

①教育資金
対象は30歳未満、最大1500万円
※うち学校以外の塾などへの支払いは500万円まで
※金融機関に専用口座が必要
②結婚・子育て資金
20歳以上50歳未満、1千万円
※うち結婚費用は300万円まで
※金融機関に専用口座が必要
③住宅取得資金
20歳以上、2500万円
※省エネルギー・耐震・バリアフリー住宅は3千万円まで

使い道を定めないで贈与したい場合は「相続時精算課税制度」(最大2500万円、60歳以上の父母または祖父母から20歳以上の子や孫への贈与)や、「暦年贈与」(通常の贈与)がある。

また、親や祖父母ら扶養義務者から、生活費や教育費に充てるお金で、通常必要と認められる分をその都度払ってあげるなら、そもそも贈与税はかからない。