確定申告の時期がやってきました。
今年(2021年)は新型コロナウィルス感染拡大の影響で、確定申告の締切が1ヶ月伸びました。
確定申告で税金を取り戻しましょう。
確定申告で税金還付の可能性があるのが医療費控除。
但し、医療費が10万円以上だけでなく、10万円未満でも医療費控除の対象になる場合があります。
医療費控除の計算方法及び確定申告の方法を徹底解説します。
医療費控除とは?
医療費控除とは、申告する本人と生計を一にする家族が1年間に支払った医療費や医薬品が一定金額を超えた場合、控除が受けられる制度です。
医療費控除を受ける為には確定申告をする必要があります。
医療費控除というと、「医療費が年間10万円を超えないと、申請できない」と考えがちですが、実は、医療費が年間10万円未満でも、医療費控除を申請することは可能です。
但し、総所得金額等が関係してきます。
●総所得金額等が200万円以上
●総所得金額等が200万円未満
総所得金額等が200万円以上の人の医療費控除の金額
医療費控除の金額=①1年間の医療費-②保険金などで補填される金額*-③10万円
*保険会社から支給される、医療保険金・入院給付金など、出産一時金、家族出産育児一時金、高額療養費などがあります。以下同様
【例1】総所得金額等が300万円のケース
①=30万円/②=0円
医療費控除の金額=30万円-10万円=20万円
尚、医療費控除の最高額は200万円です。
総所得金額等が200万円未満の人の医療費控除の金額
医療費控除の金額=1年間の医療費-保険金などで補填される金額*-③総所得金額等×5%
【例2】総所得金額等が100万円のケース
①=7.5万円/②=0円
医療費控除の金額=7.5万円-100万円×5%(=5万円)=2.5万円
例2を見るとお分かりの様に、医療費が10万未満でも医療費控除を受けることが可能です。
医療費控除でいくら戻るかをシミュレーション
医療費控除で実際に税金がいくら戻るかをシミュレーションしてみます。
上記では、総所得金額等が200万円以上か未満かで差し引ける金額は異なりました。
医療費控除でいくら戻るかには、それにプラスして所得税率が関係してきます。
所得税の税率
平成27年分以降の所得税の税率は以下になっています。
課税総所得金額* | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1000円超195万円以下 | 5% | 0円 |
195万超330万円以下 | 10% | 9万7500円 |
330万円超695万円以下 | 20% | 42万7500円 |
695万円超900万円以下 | 23% | 63万6000円 |
900万円超1800万以下 | 33% | 153万6000円 |
1800万円超4000万円以下 | 40% | 279万6000円 |
4000万円超 | 45% | 479万6,000円 |
*1000円未満切捨
医療費控除で戻る金額の計算方法
医療費控除で戻る税金は所得税と住民税です。
所得税は上図のように課税総所得金額によってことなります。
住民税は基本的に5%、所得税は最低5%なので、合計10%となり、
医療費控除で戻る金額(=税金還付金額)=医療費控除×10%となります。
前述の【例1】と【例2】のケースでいくら戻るかを計算してみます。
医療費控除でいくら戻るかをシミュレーション【例1】
【例1】総所得金額等が300万円のケース
①=30万円/②=0円
医療費控除の金額=30万円-10万円=20万円
総所得金額等が300万円の場合、所得税の税率は10%。
住民税を5%とすると、合計15%の税金が戻る計算です。
20万円×15%=3万円
税金の還付金額は3万円です。
医療費控除でいくら戻るかをシミュレーション【例2】
【例2】総所得金額等が100万円のケース
①=7.5万円/②=0円
医療費控除の金額=7.5万円-100万円×5%(=5万円)=2.5万円
総所得金額等が100万円の場合、所得税の税率は5%。
住民税を5%とすると、合計10%の税金が戻る計算です。
2.5万円×10%=0.25万円
税金の還付金額は2,500円です。
次に確定申告の申請方法をみてみます。
医療費控除の確定申告
●必要書類
●申請方法
●申請期間
必要書類
通常の確定申告の書類(①④)以外に、医療費控除に関する書類(②③④)の提出が必要です。
①確定申告の申請書類
確定申告書A(第一表、第二表)および医療費控除の明細書
②医療費の明細書
※平成31年分の確定申告までは医療費の領収書の添付でも構いません
③医療費の領収書
※平成29年分の確定申告から提出不要となりましたが、自宅で5年間保存する必要があります
④健康保険の医療費通知
添付することで医療費控除の明細書の明細を省略できます
⑤給与所得の源泉徴収票
申請方法
医療費控除の申請方法には以下の方法があります。
●税務署などの窓口で申請
●税務署に必要書類を郵送
●ネットで申請(e-Tax)
申請期間
確定申告では、1年間(1月1日から12月31日までの間)の所得と税金を計算し、翌年の2月16日から3月15日の間に申告書類を提出します。
※2021年の確定申告は新型コロナウイルス感染拡大の影響で1ヶ月伸びています。
尚、医療費控除のみの申請であれば税務署が混み合った確定申告の時期を避けて、あとからゆっくり申請することができます。
また5年以内であれば過去の医療費控除をこれから申請することも可能です。